前回はフライを紹介しましたが、今回はフライとフライラインをつなぐリーダー・ティペットを紹介します。
リーダーとティペットは一般の釣りで言うところの「ハリス」に相当します。
しかし、フライラインの重さで投げるというフライフィッシングの特殊性がここにも出ています。
リーダーはフライラインのキャスティング力をフライまでうまく伝えるために、徐々に細くなるテーパー構造にします。
そのテーパー構造をかつては少しずつ徐々に細い糸を結んで作るノットリーダーを使っていたようですが、今は買った時からテーパー構造になっているノットレスリーダーが一般的です。
画像はフライメーカーのバリバスのテーパードリーダー(スタンダード)のテーパー構造図です。
太い部分をバット部、徐々に細くなっている部分をテーパー部、細い部分をティペット部と呼びます。
ティペット部にフライを結んで、バット部をフライラインにつなぎます。
フライを結び直したりすると、リーダーのティペット部がどんどん短くなってきます*2。
そのために短くなったリーダーのティペット部を補うのがティペットです。
これは普通の太さが変わらないハリスなので、ティペットとして売っている専用品のではなく他の釣りに使うハリス糸も使うことができます。
本来はリーダーのティペット部を補うのがティペットですが、最初からある程度リーダーにティペットをつけて使うのが日本では一般的でその前提でテーパー構造が作られているものがほとんどです。
フライフィッシングのリーダー・ティペットの太さは、〇〇Xという単位で表します。読み方はそのままエックスです。5Xなら「ごエックス」と読みます。
これがどういう意味のある数字なのかわかりませんが、日本の釣りで使われる号数、ルアー釣りや他の海外の釣りで使われるポンドテスト(lb)、実際の太さを表にまとめます。
FFでの太さ | 日本の号数 | ルアーなどのlb | 直径(ミリ) | 直径(インチ) |
0X | 3.0号 | 14 lb | 0.28 mm | 0.011 |
1X | 2.5号 | 12 lb | 0.25 mm | 0.010 |
2X | 2.0号 | 10 lb | 0.23 mm | 0.009 |
3X | 1.5号 | 8 lb | 0.20 mm | 0.008 |
4X | 1.0号 | 6 lb | 0.18 mm | 0.007 |
5X | 0.8号 | 4 lb | 0.15 mm | 0.006 |
6X | 0.6号 | 3 lb | 0.13 mm | 0.005 |
7X | 0.4号 | 2 lb | 0.10 mm | 0.004 |
8X | 0.2号 | 1.5 lb | 0.08 mm | 0.003 |
………ふぅ、疲れた。なんで、太さの表し方を統一してくれないかねぇ(^^;;;
換算は目安なので正確ではないかもしれませんが、大体こんな感じです。
他の釣りのハリスをティペットとして使うときに参考にしてください。
太いほうが切れませんが、魚には見切られやすいです。
反対に細いほうが魚には見切られませんが、切れやすいです。
渓流や管理釣り場で使用されるのは大体5X~7Xです。
テーパードリーダーの太さは、ティペット部の太さで表します。
ティペットとリーダーを継いで使う場合は、同じ太さか1段階細いティペットを使います。2段階以上細いティペットを継ぐフライが投げにくくなるので、その場合は中間に太いティペットを入れてノットリーダーのようにします。例えば5Xのリーダーで太さ7Xのティペットにしたい場合は、
リーダー5X-ティペット6X(15~30cm)-ティペット7X
というように継ぐと良いかと思います。
また、長さは文化的な理由からロッドなどと同じように「フィート」で表すことが多く、売っているリーダーもフィート単位で売られています。
未だにメートル法に移行できないアメリカめ!とは思いますが、慣れていただくしかないですね(^^;;;
リーダーと(継ぎ足した)ティペットを合わせて「リーダーシステム」と呼びます。
このリーダーシステムですが…
最初はロッドの長さ1本分ぐらいの長さ
にしましょう。つまり8フィートの竿を使っているならば8フィート、8フィート6インチの竿を使っているならばフィート6インチぐらいのリーダーシステムです。
システムとしては、
ノットレスリーダー7.5フィート + ティペット0.5~1フィート
というシステムです。
フライフィッシングの入門書によっては、もっと長いリーダーシステム(ロングリーダーティペット)をすすめるものがありますが、一番最初は扱いやすい長さが良いです。せいぜいロッドの1.5本分までにしたほうが良いです。いや、大御所フライフィッシャーを信じてついていく決意をされていたり、魚を釣るよりも木を釣ったり絡んだ糸を解くほうが好きならば止めませんが、やっぱり「魚釣り」をしたいならば、最初は短めなリーダーシステムで行きましょう。大丈夫、管理釣り場ならば竿一本分のリーダーシステムで十分釣れますから
ただ、ロングリーダーティペットが流行ってしまった日本では、店で売っているノットレスリーダーが9フィートからが一般的です。もしも7.5フィートのノットレスリーダーが手に入らない場合は、9フィートのノットレスリーダーのバット部を1.5フィート(45cm)ぐらい切って使用してください。
システムのティペットの太さですが、ドライフライの場合で大体フライのサイズ割る2~3ぐらいの太さが良いとされています。……アバウトですね(^^;;;
この計算で行くと、常用域とされる#14~#18のフライなら大体5X~7Xに収まるかと。
とりあえずで組むならティペット6Xで良いかと思います。
リーダー・ティペットの材質は、ナイロンかフロロカーボンが一般的です。
この2つの違いを表にまとめます。
ナイロン | フロロカーボン | |
比重 | 水より小さい(浮きやすい) | 水より大きい(沈みやすい) |
柔軟性 | 柔らかい | 硬い |
伸び率 | 大きい | 小さい(ほぼ伸びない) |
絶対的な強さ | 弱い | 強い |
瞬間的な衝撃に対する強度 | 強い(ある程度伸びるので) | 弱い(伸びないので限界に達しやすい) |
透明度 | 低い(あくまでフロロと比べたらね) | 高い |
吸水性 | 高い | 低い(ほとんど吸わない) |
劣化・分解 | しやすい(開封したら半年で劣化する) | しにくい |
価格 | 安い | 高い |
まぁ、最初はリーダー・ティペットともにナイロンでいいと思います。
理由は
からです。
まぁ、他の釣りで使っていたフロロカーボンのハリスがあったらティペットに使っても構いません。比重が大きいフロロカーボンは沈める釣りで使う、と物の本には書いてあったりしますが、実は5X~8Xぐらいの細さのティペットでは、ナイロンより沈みやすいとはほとんど感じないと思います。ノットレスリーダーのバット部の太さがあると流石にフロロカーボンは沈みやすいと思いますので、渓流ではノットレスリーダーはナイロン製を使いましょう。
ただし、ナイロン製は吸水性が高く劣化しやすいので要注意です。
一年ぶりに釣りをするとかいう時にはナイロンならば買い換えたほうが無難です。
ぶっちゃけ、入手しやすいものを選べばいいです(笑)
それでも迷ったら、最初はノットレスリーダーはバリバスのオールパーパスがいいかな。
太さは5Xを持っていれば、管理釣り場と渓流は大体事足ります。
ティペットは5X~7Xを持っていたほうが良いかな。とりあえず一つなら6Xですね。
ちなみに、同じ渓流でも北海道のニジマスを狙うならば太さは2~3段階太くしたほうが良いです。いや、マジで強さが半端ないので。北海道のとある小規模渓流で40cmぐらいのニジマスに5Xを一瞬で切られてビビりました(^^;;;
あ、そそ、リーダーは予備を含めて2つは買っておきましょう。
トラブル起こして一生懸命解くぐらいなら交換してしまったほうが良かったりしますので。
大丈夫、最近のパッケージは進歩しているので、開封しない限りナイロンでもほとんど劣化しません。
糸の結び方を紹介忘れていたので、ここにまとめます。
・・・が、いつものように他のサイトや動画での紹介とします(^^;;
世界初のフロロカーボンハリス「シーガー」ブランド。1971年発売。あらゆる釣りに提供する高品質のフロロカーボンライン、釣り糸のラインナップをご覧ください。
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何種類もあるので覚えるのも大変ですが、アーバーノット、オルブライトノットは動画を見ながら家で結べばいいし、ループ付きフライラインを使っていればネイルノットは使わずに済むので、釣り場で使うためにはトリプルエイトノットとクリンチノットだけ覚えれば釣りになります。2つぐらいならば・・・覚えられませんか?
ちなみに、ボクは人がフライフィッシングではあまりやらない結び方を多用してます。
興味があったらこちらを覗いてみてください→ノットマニアックス
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