その8-実釣

実釣

どの釣りから始めるか

さて、フライフィッシングで、どの釣りをしますか?
…………って言われても、いきなりじゃ困りますよね(^^;;;

とりあえず、管理釣り場で入門用としては、

  • ドライフライの釣り
  • ニンフフライの釣り
  • ウェットフライの釣り

の3種類の釣りを提案させていただこうと思います。(ストリーマーの釣りは「遠投ができる」ことが前提なので、入門用としては割愛します。)
それぞれ釣り方に特徴があって、それぞれの面白さがありますので、まずは全部一度はやってみるのが良いかと思います。
しかし、それぞれの釣りでリグ(仕掛け)が微妙に違うので、本気を出すとリギング(仕掛け作り)に時間がかかってしまいます。そこで、ここではリグの変更をなるべくしなくても良いように、8フィート#4のロッドを使っている前提で、5X 7.5フィートのノットレスリーダーをフライラインに接続している状態から、ドライフライ、ニンフフライ、ウェットフライの釣りの3種類の釣りに、最小限の変更で対応できるように解説したいと思います。

それぞれの釣り方を大雑把に説明

大雑把に言って……

ドライフライ

特徴
水面に落ちた虫を模したフライを水面に浮かべて釣る。
長所
楽しい。そりゃ水面を割って出てくる魚を釣るんですから楽しいですよ。
短所
釣れる条件が限られる。
ドライフライで全く釣れない状況ってのはあります。で、釣り方を変えると爆釣したりもしますね。
ただ、ドライフライはやはり興奮するので一度の成功体験からドライフライにこだわり続けてしまう中毒性があります。それも短所かもしれません。

ニンフフライ

特徴
水生昆虫の幼虫(ニンフ)を模したフライで、水底を釣る。
長所
釣りにならない状況が少ない。とりあえず釣果を出したいときにはイチオシの釣り方。
短所
重いフライを使ったり、重りをつけたり、浮きをつけたりするので若干投げづらい。
根がかりが多い。つまりフライをたくさん消費する。
ライズ(水面で餌を捕食していること)している魚を狙ってとるのは難しい。
ほとんどのニンフの釣りでは魚がフライを咥えるところが見えないので、ドライフライほどたぎらない。
ドライフライこじらせ系のベテランがバカにしがち

ウェットフライ

特徴
水面直下から中層までを流して釣る。
長所
ドライに出ないライズを取れる。
なんか大物が釣れるような気がする(気のせいか!?)
短所
ニンフほど万能ではない。水底に魚が定位してしまっている状況ではなかなか釣りにくい。
流れが全く無いような管理釣り場ではちょっと釣り方が難しくなる
高いフライが多い(なんか趣味の世界)

という感じです。

じゃ、どれから始めるのが良いの?

タイプ別おすすめをなんとなく

「これぞフライフィッシング!!」って釣りをしてみたい
ドライフライの釣りをしましょう。きっと一匹釣ったらフライフィッシングの虜になれます(^^)/
万が一、ドライフライでは全然釣れなくてイライラしてきたら、そうですね、ニンフフライのインジケーターフィッシングをしましょうか。
とりあえず釣りたい!
とりあえずニンフフライのインディケーターフィッシングで一匹釣っておきましょう。それからドライフライをやってフライフィッシングにはまっておきましょうか。
ルアーやっていたけど、フライの人はたくさん釣ってて羨ましいなと思ってた
ニンフフライで、というかグローバグでインディケーターフィッシングをしましょう。今まで釣れなかった分を取り戻してください。
テンカラをやってました。テンカラで届かなかった遠くのポイントに入れたい!!
テンカラに一番近いのはウェットフライの釣りじゃないかと思います。誘いの入れ方とかは知っていると思いますので、初めての人から見たら一歩リードですよ。また、テンカラの毛鉤でウェットフライの釣りをしてしまうのも楽しいかと思います。テンカラ毛鉤を浮かせて釣る釣り方(ドラテンとか言いますね)はドライフライの釣りですが、ドライフライでは誘いを入れて釣ることはほとんどしません。この違いはちょっと戸惑うかもしれません。

ちなみに、ボクは管理釣り場ならば、

  1. とりあえず、ドライフライを投げてみる
  2. 反応がなければ、ウェットフライ
  3. それでも反応がなければニンフフライ
  4. 最終手段、ニンフフライの代わりにグローバグ

という順番でやることが多いです。

ま、ウェットフライはすっ飛ばしてニンフフライの釣りをすることもありますね。ポンドタイプの管理釣り場ではウェットフライの釣りはあんまやらないかな。

基本的な動作

どの釣り方も基本的に、

  1. キャスティングでフライをポイントに投入。
  2. ロッドハンド(ロッドを握っているほうの手)の人差し指でラインを抑える。
  3. 必要に応じてラインハンド(ロッドを握っていないほうの手)でラインを出し入れする。
  4. 回収して再びキャスティング

という動作の繰り返しです。フライが着水した直後に魚が出る場合も多いので、1.のキャスティングから2.ロッドハンドの人差し指でラインを抑える動作をスムーズにできるように練習しましょう。

ドライフライの釣り 釣れれば楽しいフライの醍醐味

ドライフライの釣りは、なんと言っても水面を割って魚が飛び出すという最高にテンションが上がる釣りです。

ドライフライのシステム

前述したとおり、8フィート #4のロッドを前提にした、管理釣り場で釣る初心者向けのシステムを挙げます。

7.5フィート 5X テーパードリーダー(ナイロン) - 1フィート 6Xティペット(ナイロン)

まぁ、最初はこれでやってみましょう。

結ぶフライはもちろんドライフライです。
最初は、

  • エルクヘアカディス(下の写真のフライ)
  • パラシュート

あたりを使うと良いかと。フライのサイズは#14~#16あたりで始めましょう。ちょっと大きめかもしれませんが、まずは見やすい大きさで始めるのが良いと思います。

大雑把なドライフライの釣り方

  1. とりあえず、ドライフライを魚がいそうなところに投げます。
    流れがあるところならば、「いそうなところのちょっと上流」に投げましょう。
  2. そのまま流します。流れがないポンドタイプの管理釣り場ではしばし待ちます(10秒~30秒ぐらい?)。
  3. フライが流れ切ったら、つまり糸がフライを引っ張っているような状況(「ドラグがかかった」と呼びます)になったら、フライを回収してまた上流に投げます。
    ポンドだといつまでもその場にとどまりドラグがかかった状態になりませんが(もちろん流れ込みなどを狙うなら流れますよ)、まぁ、しばし待ったら別の場所に投げます。投げ返すのは、魚が「何か落ちてきたぞ」を思うために必要なのです。
  4. 流している最中に、魚が飛び出てきたらロッドを立てて合わせます。

はい、それだけです(ぉぃ

ポイントは、ドライフライを自然流すことです。
自然に流す方法というのが、ある意味ドライフライの釣りの本質です。
実際「ドライフライを自然に流す」がだけがテーマの本が無数に出ています。
しかし、そのような本を読んでみると、
ものすごく大道芸的な技術を要求したり、
ものすごく練習しないとできないような超絶テクニックだったり
おおよそ初めての人が最初からできるような内容ではないものが大半です。

そこで、ここではひとつだけ。

流れに向かってラインが平行になるように、上流に投げましょう。
釣り用語でいうと、アップ、またはアップクロスに投げましょう。
そうすると、比較的長い距離、ドラグがかからずに流すことができます。

先程も書きましたが、ドラグの回避方法はアップまたはアップクロスに投げること以外にもいろいろな方法があります。^ とはいえ、大道芸的な難しいテクニックだったりするので、まずはこの方法をやってみてください。

というわけで、参考まで、またまたフライショップ ハーミットのオーナー
稲見さんのドライフライの釣り方解説の動画を貼っておきます。

ニンフフライの釣り 大体どんな状況でも釣りになる方法

ニンフフライの釣りは、水生昆虫の幼虫(ニンフ)を模したニンフフライを底に流して釣る方法です。
水生昆虫の幼虫は大体一年中いますので、トラウトたちの常食になっています。
そういうわけで、ニンフフライの釣りは、ある意味万能です。
ただ、底の釣りなのでドライフライのように捕食の瞬間を見ることは難しいので、楽しみという点では劣るかもしれません。

ニンフフライのシステム

今回は数あるニンフフライの釣り方の中から、一番簡単なインディケーターの釣りを紹介します。 システムは上記のドライフライで使ったのと同じ5X 7.5フィートのノットレスリーダーでリグを作ります。

7.5フィート 5X テーパードリーダー(ナイロン) - 0.5フィート(約15cm) 5Xティペット(ナイロン)

ドライフライと切り替えるために、ちょっと太くて短い短めなティペットをつけるだけでOKです。
そして、シンカーとインディケーターを付けます。
シンカーはスプリットショット、いわゆるガン玉を使います。付けるガン玉の重さは、深さ、流れの早さ、インディケーターとのバランスなどで調整しますが、まぁ4番のガン玉を1つとけとけばいいかな。重くしたい場合はガン玉を追加しましょう。ガン玉を付ける場所ですが、リーダーとティペットの結び目のすぐ上(リーダー側)につけるといいと思います。他の解説サイトや入門書にはティペットのフライから10cmの場所、と書かれていることが多いですが、結び目の上とすることで、少なくとも下にガン玉がズレることはなくなります。ティペットにつけてガン玉が下にズレてフライとくっついてしまうと、フライが魅力的に動かなくなるのかガクッと釣果が落ちる(気がします)。シンカーが何かに引っかかってしまったときの被害はティペットにシンカーをつけた方が少ない(事もある)ので一概にティペットにシンカーをつけるのがダメってことも無いですが。
もう一つ、インディケーターを付ける場所ですが、これも水深や流れの早さで調整が必要です。まぁ最初はフライから1mぐらいの場所につけるといいかと思います。あ、浮きゴムで取り付けるタイプのインディケーターを使う場合は、ティペットを付ける前に通しましょう。リーダーとティペットの結び目を通せないことも無いですが、引っかかって浮きゴムを破損することもあるので。

フライはもちろんニンフフライを付けます。とりあえず、

  • ヘアーズイヤーニンフ(下の写真のフライ)
  • フェザントテールニンフ

あたりが定番ですか。
最終手段としては、グローバグ/エッグフライと呼ばれる派手な色の毛玉みたいなフライをつけるのもアリです。こんなもので?と思われるかもしれませんが、野生のヤマメ、イワナでもよく釣れるフライです。釣れすぎるためか、グローバグ/エッグフライを禁止している管理釣り場もあるぐらいです。
あと、ニンフフライの釣りは底を釣る釣りです。必然的に根掛かりが多くなり(魚は根掛かりするような所にいるものです(^^;)フライの消耗も多くなります。予備のフライは多く用意しましょう。

ヘアーズイヤーニンフ
ヘアーズイヤーニンフ

グローバグ
グローバグ/エッグ

大雑把なインディケーターを使ったニンフフライの釣り方

  1. 魚が居そうなところのちょっと上流になげます。
  2. インディケーターを見ます。自然な感じで流しましょう。魚が居そうな所を通過してしまったりラインがインディケーターを引っ張ってしまったときには回収して、また上流に打ち返します。
  3. インディケーターが不自然な動きをしたら魚がフライをくわえたサインなので、ロッドを立てて合わせます。

まぁ、文章にするとそれだけですね(^^;)
「インディケーターが沈んだら」ではなく「インディケーターが不自然な動きをしたら」と書いたのは、魚のアタリは必ずしも沈む方向に出るとは限らないからです。

  • 沈む
  • 流れていたのが止まる
  • 横に動く
  • シンカーの重さのテンションが無くなり浮く

これらすべてアタリの可能性があります。

……といきなりこれらをすべてアタリと疑い始めるときりが無いので、最初は沈むのをメインで見たいけば良いかと思います。

こじらせたベテランが「ウキ釣り」と言って揶揄するこの釣りも、インディケーターの動き一つとってもかなり奥が深いんです。

誘う釣り ウェットフライ

ドライフライもニンフフライも、基本的には水の流れに対して自然に流して魚に食わせる釣りでした。
しかし、ウェットフライは自然に流す他に、誘うという動作を入れることも重要になってきます。
それが面白いつりで、誘った瞬間に魚が食いついたりしたらもうたまりません。
なぜか日本の渓流ではあまりやってる人がいないのですが、ドライフライに食ってこないライズがウェットフライだとあっさり食ってきたりすることもあるので、覚えておいて損は無いです。

ウェットフライのシステム 最初はドロッパー無しで

ウェットフライの釣りの場合、魚は強烈な向こう合わせでかかってくることが多いです。ですので、太めなティペットを使います。

7.5フィート 5X テーパードリーダー(ナイロン) - 1フィート(約30cm) 5Xティペット(ナイロン)

これに、ウェットフライをつけます。
ウェットフライは、ティペットにドロッパーと呼ばれる枝ティペットをつけて、複数のフライをつけることがあります。が、複数のフライをつけたシステムをキャスティングするのは、それなりに経験が必要なので、最初はドロッパーなしのシステムで行きましょう。

ウェットフライは歴史も長く、非常にたくさんの種類のフライがありますが、とりあえず、

  • シルバーマーチブラウン
  • オレンジ&パートリッジ(などのソフトハックル)

あたりを用意すればいいかなと。サイズは#10~#14ぐらいかな。ボクはとりあえずなら#10を使います。

ドロッパーをつけなければ、ティペットの太さ以外はドライフライのシステムとほとんど変わりませんね。

ウェットフライの例として、拙作のオレンジ&パートリッジの写真を載せておきます。

大雑把なウェットフライの釣り方

ウェットフライの釣り方は、前述の2つの釣り方とちょっと違います。
基本的にウェットフライはテンションを保った状態で使います。

  1. クロス(流れに対して垂直)かダウンクロス(流れに対して斜め下流方向)にキャスティングする。
  2. キャスティングしたら程々にラインを張る。
  3. そのままラインを張りつつ流す。ラインはロッドを頂点とした扇型を描いて流れていく。
  4. 下流まで流れていったら、ゆっくりラインを回収する(この時に食ってくる時もある)
  5. アタリは大体ラインにガツンと来るのでわかる。殆どの場合向こう合わせでフッキングするが、一応アタッたらロッドを立てて合わせる。

ですね。
程々にラインを張るのがポイントで、張ることでフライが踊ります(スイングと表現することもありますね)。この踊った瞬間に食ってくることが多いです。なので、チョンチョンと引っ張ったり、チョン・・・チョン・・・という感じに間を空けたり、あるいは踊らせずにそのまま流したりなど、いろいろな誘い方ができます。ええ、テンカラの釣り方と似ていますね。

大事な大事な「合わせ」(フッキング)

すでに何回も書いてしまっていますが、魚釣りで大事なこと、「合わせ」について書いておきます。

釣りで言う「合わせ」は釣り針が魚の口の中に入った時に糸を引いて釣り針を口にかける動作のことを言います。カタカナで言うとフッキングです。また、勝手にフッキングしてくれることを「向こう合わせ」といいますが、フライフィッシングでこの向こう合わせになることがあるのはウェットフライでの釣りで、ドライフライやニンフでの釣りは基本的には合わせが必要です。

どんな釣りでも「合わせ」が大事。でも、難しいのが合わせ。この「釣り針が魚の口の中に入った時」に合わせるというのが難しいのです。

ドライフライの合わせ

ドライフライは魚が水面に出てフライを加えるのでそのタイミングでロッドを素早く立てます。はじめてならば、思いっきり立てていいです。初めてだと大体の人は合わせが遅れると思いますので、躊躇すると遅すぎて魚がかかりません。ただ、力を入れすぎると引っ張りすぎて糸が切れてしまいます。切れるようならば力を加減してください。

ニンフィングでの合わせ

インディケーターニンフィングではインディケーターがあるので比較的わかりやすいです。
ドライフライと同様に合わせはロッドを立てて行います。リーダーシステムが複雑なので勢いよく立ててからまないように気を付けましょう。

ウェットフライでの合わせ

ウェットフライでの釣りは向こう合わせでかかってくることが多いです。それでも魚の感覚があったらロッドを立てるのが良いと思います。かかった後に確実にフッキングさせるために「追い合わせ」になります。


3種類の釣り方を紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
どの釣りたが良いかというのを始める前に選ぶのではなく、実際に3種類の釣り方をやってみるのが良いと思います。
そういう意味で、簡単に切り替えられるようなで紹介しました。

次は、釣れた後の取り込み方を書こうと思います。
意外にこれをちゃんと説明している入門書って少なかったりするのでじっくり説明します。


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